2017年3月7日火曜日

学芸員レポート~その10~

「かもめシアター」ができるまで

フィンランド・デザイン展の会期も残り少なくなってきました。
担当学芸員としてはオープンしたのが遠い昔のような気がして、柄にもなくちょっとセンチメンタルな心境の今日この頃・・。

さて、今回は展覧会場の中に設けた「かもめシアター」についてお話しましょう。
写真のように白布を幕のようにして円形に囲ったスペースです。


ここではアルヴァ・アアルトやエーロ・アールニオなどの名作椅子に自由に座りながら、大橋香奈さんの素敵な音楽・映像をお楽しみいただけます。
横にはフェルト人形作家YOSHiNOBUさんによるかわいい動物たちもいます。


実はこのスペースができるまでには、担当学芸員と展示施工業者さんとの間に交わされた様々なやりとりがあったのでした。(以下はある日のやりとりです)

(学芸員)  「アール(曲線のこと)の木パネルで円形スペースができませんかね~♪」
(業者さん) 「できますけど予算オーバーしますよ。」
(学芸員)  「ガガーン!」
(業者さん) 「多角形にして円形に近づけたらどうでしょう・・」
(学芸員)  それじゃ雰囲気が重くなるし、だいいち美しくないじゃないですか。今回は完璧な円   
        じゃなきゃダメなんです。ダメなんだああ~」
(業者さん) 「・・・。」
(学芸員)  「そうだ!布にしたらできるのでは?防炎処理込みで。」
(業者さん) 「ええ~マジですか?やったことないですが工場と相談してみましょう。」

こうして学芸員のゴリ押しと業者さんのすばらしい技術力で実現したのが「かもめシアター」なのでした。業者さんありがとう。最後に一句。
「北欧の 静かに泳ぐ 白鳥(しらとり)の 水面の下は 激しかるらむ」(おそまつでした)

主担当学芸員:すえよし

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